懸賞檄文【奨励賞】美しい日本の心と秩序の回復/大須賀一夫

義挙50周年プロジェクトの一環として公募しました「懸賞檄文」において、厳正なる審査の結果、下記の文章が奨励賞となりました。ここに全文を掲載します。(福岡黎明社)

私が命をかけて現代社会に訴えたいこと。それは、美しい日本の心と秩序の回復である。

拝金主義、利己主義、個人主義、物質優先の世の中になり、エゴが蔓延るこの濁った世の中が、再び美しく、豊かな心をもった秩序ある日本への回帰を希求する。

精神の堕落は何も、政界人や芸能関係者のような、いわゆる上流階級や著名人に限ったことではない。一般庶民の私たちも、信号無視や万引き、虚言、戯言、騙し等、種類は違っても姑息な悪事が、ありとあらゆるところで日々行われている。

私は、過去数多の戦争犠牲者、宗教関係の殉難者等、多くの先人の命がけの土台の上に生かされている、今の私たち日本人の平和であることを決して忘れてはならないと思う。

では、美しい日本の心と秩序の回復を目指すには、どのように取り組めばよいのであろうか。それは、何をおいても家庭と学校両面での教育の改革と充実である。

私は、「両親をはじめとした目上を敬う」、「長幼の序」、「礼儀の大切さ」、「他を敬う心」、「神仏や自然に対する畏敬の念」、「物を大切にする」、「規則を守る」。こうした、私たちの先祖が大切に守り伝え続けてきた善き伝統が、戦後教育という名のもとに、古臭い道徳理念として軽んじられ、現代のような無秩序で潤いや安らぎのない世の中になってしまったと思っている。

私たちの先祖は、お互いに気持ちよく、日常生活を共同体として、暮らしていく生活の知恵としてこうした良き伝統を守り続けてきたのであろう。

家庭教育では、家庭の中で親や目上を敬い、互いに思いやって仲良く暮らすことが大切なことを再認識するように回帰するよう祈り続けたい。

家庭内でもエゴが横行し、子どもが親を敬えない、親が子どもを愛し慈しむことができない。親殺し、子殺し、虐待が日常茶飯に報道されている社会から、物や金、目先の利害得失ではなく愛他と奉仕報恩の精神が豊かであった、昔の日本の家庭環境へと回帰できるよう願い祈り続けたい。

学校教育の教員は、授業の道徳教育のみに専念でき、心にゆとりをもった教育現場に回帰できるよう願い、祈り続けたい。

家庭の教育、学校での教育、政治家も声を大きくして、こうした道徳教育の先頭に立つことが望まれるのだが、残念だが現実的に政治家はこうした人道的、倫理道徳的なことについて堂々と言及し、範を示そうとする人はほとんどいない。

しかし、現在の堕落した社会を嘆き、過去を美化していても現実は何も変わらない。こうして理想を述べることはたやすく、実際の行動に移していくことは、微力な私一人の力では何もなしえない。

五十年前、三島由紀夫先生が命をかけて私たちに訴えられたこと、それは美しい日本の心と秩序の回復であると私は信じている。

はからずも、現在、新型コロナウイルスという治療法が未だ発見されていない、未知のウイルスの出現によって、この数十年の間止まることなく進行し続けた、経済性、利便性、快楽性、利己主義を優先してきた私たちの今までの仕組みが強制的に破壊され、生活全般も強制的に改めざるを得ないようになった。

今私たち人類は、世界全体を通じて大きく淘汰されようとしているのではないだろうか。

こうした状況の下、世の中が悪い、他人が悪い、政治家が悪いと嘆くのではなく、私は、自分の接する家族、職場の人々、友人、知人に少しでもこうした美しい心、正しい秩序をもって接することができるように心がけ、信念をもって生き抜いていきたい。

ところで、昨年ご即位された今上天皇陛下は最近、次のようなお言葉を述べられている。

「私たちは今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、新たな苦難に直面していますが、私たち皆が手を共に携えて、この困難な状況を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います。」

また、平和を希求することについて陛下は、

「戦争の記憶が薄れようとしている今日、謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であると考えています。」

というお言葉を述べられている。

私は、言葉ではとても表現できないほどすばらしい、現両陛下のお人柄やお心をしっかりと魂にいただき、一人も多くの人々が陛下のみ跡に続くような心の美しい澄んだ人になるよう願い行動し続けたい。

また、愛子内親王殿下も、

「平和は人任せにするのではなく、一人ひとりの思いや責任ある行動で築き上げていくもの。そう遠くない将来に、核兵器のない世の中が実現し、広島の「平和の灯」が消されることを心から願っている」

と何とも力強い、堂々と頼もしいお言葉を述べられている。

昨年から始まったこの「令和」という新しい御代に、早々に訪れた新型コロナウイルス。

この未曽有の困難。国難、否、世界難とも言うべき、苦難の世を正しく乗り越えてこそ、美しい日本の心と秩序の回復への道が見えてくるのではないだろうか。

新型コロナウイルスは、現在の私たちの生活様式、日常生活、経済活動等、利便性や快楽主義、拝金主義、個人主義、利己主義、排他性など人間中心の欲望を最優先してきたここ数十年の社会の流れを、否応なくせき止め、破壊しようとしている。

私は、これは驕った現代の私たちに与えられた天啓であると思っている。

両陛下、愛子親王殿下という、深く尊敬に値する素晴らしいお方を頭上にいただくことができた今の日本。私は、こと尊いお方の下、多くの先聖方が命をかけて、守り訴えてこられた美しい日本の心と秩序が必ず回復されると信じている。

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